島津久:坂本家は動きがダイナミックですね。

坂本:祖父の直行は北海道大学の山岳部の1期生で、酪農しながら、北海道の風景や花の絵を描いていました。同じく山好きだった六花亭の初代社長と知り合って意気投合し、六花亭の包装紙のデザインを描くことになったそうです。坂本家は、開拓者精神が旺盛なんでしょうね。

──代々伝わる、家訓はありますか?

川路:子どもの頃から、「警察の厄介になることだけはしてくれるな」とは言われています。

島津久:鹿児島は特によく言いますね。「川路大警視が泣くぞ!」は、鹿児島ならではの名文句かもしれません。うちは、郷中教育の精神でしょうか。第10代島津忠良公が作った「日新公いろは歌」の1番目は、「古の道を聞きても唱えてもわが行いにせずば甲斐なし」という歌です。この精神を色濃く受け継いでいるのではと思います。父も島津本家から出て、精矛(くわしほこ)神社を再興して歩んでいますし、僕は自分の通う中高に野球部がなかったから、「よしつくろう」とつくりました。

大久保:家訓はありませんが、「為政清明」という言葉が好きです。大久保が生涯貫いた生き方そのものと感じますね。

西郷:「敬天愛人」という信念は受け継がれていると思います。

坂本:坂本家も自由な家柄で、特に家訓はないですよ。龍馬が江戸に出るときに父親が渡した「修行中心得大意」という訓戒状があるくらい。坂本家は権力嫌いで、頑固です(笑)。

(構成/編集部・澤志保)

AERA 2018年3月12日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?