富岡八幡宮は事態を重く見て、息子を懲戒解雇に。息子は長子さんと富岡八幡宮を相手取り、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と、懲戒解雇がなければ得られた賃金などを求め裁判を起こしたが、請求内容はすべて棄却されている。

 現在、茂永容疑者の息子が働いているという都内の神社を訪ねた。その神社の幹部職員はこう話した。

「非常勤ですが、権禰宜として働いています。お祭りなどの繁忙期など、年間20日程度の勤務です。丸1日きて1万円、それは勉強として来ているという意味です。当然、それだけでは食べていけないから、建設関係の仕事で働いています」

 息子は富岡八幡宮を懲役解雇となったのち、都内の別の神社で働き、「こちらに来ました」と、幹部職員は続ける。

「茂永さんから電話があり、こちらで勉強させてくれないかと。実際に会ってみると、なかなかしっかりした人間でした。神主と言っても、境内の掃除とか、植木を切ったり、大工仕事をしたりします。(息子さんは)いろんなことができるから、うちとしても助かっています」

 目前にお正月を迎えるが、現在は事件に関する捜査当局への対応もあり、しばらく息子は休む予定だという。富岡八幡宮に戻る可能性はあるのかと尋ねると、こう答えた。

「宮司になるためにはそれだけの器を身につけなければなりません。まだまだ修行をしなければならない」

 事件により図らずも明らかになった「金満神社」の実態。新宮司のもと、一から信頼を回復していくしかない。(AERA編集部・澤田晃宏)

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