2014年9月、茂永容疑者は週刊誌『FRIDAY』の取材にこう答えている。
「富岡八幡宮の収入源は、まずお賽銭やお札などの販売、これはお正月だけで約2億円に上る年もあります。他にも厄払いや車のお祓(はら)い、不動産の賃貸収入などを合わせて、少ない年でも年間約5億円、多いときは約15億円ほどの収入があります」
手紙を受け取った氏子の一人は、こう話した。
「並みの神社ではない。富岡家で受け継がれ、恵まれた神社の宮司のポジションは簡単には手放したくないだろう」
茂永容疑者は退任時に1億2000万円の退職金をもらい、満65歳まで月額30万円の宮司年金が支給されることになっていた。それでも、神社の主導権を他人に渡したくなかったのだろう。
茂永容疑者が要求するように、息子が宮司になる可能性はあるのか。富岡八幡宮の関係者はこう切り捨てた。
「彼はすでに富岡八幡宮から懲戒解雇されている。ニッカボッカにTシャツ姿で掃除をしたり、神職の見習い期間なのにひげもそらず、もみ上げも伸ばしたり、無断欠勤もあったりで勤務態度は悪かった」
息子は05年6月から時給制のアルバイトとして富岡八幡宮に勤務。06年には国学院大学神道文化学部に入学。10年3月には神社本庁から神職となる資格を授与されている。懲戒解雇の理由は、11年2月に息子が富岡八幡宮の責任役員に出した手紙だと前出の関係者は続ける。
「息子さんは神職の資格を得たあたりから長子さんと対立するようになった。後継者として早く権禰宜(ごんねぎ)にするように伝えたが、長子さんはそれを認めなかった。そうしたいさかいから、息子さんは将来的に自分が幹部になることを書いた上で、神社の経営方針や問題点を手紙に書いた。そのほとんどが、宮司代務者の長子を非難する内容だった。神社との関係を断たれた茂永が息子にやらせたのだろう」
茂永容疑者は06年に、「地獄へ送る」などと書いたはがきを長子さんに送ったとして警視庁に脅迫の疑いで逮捕されている。「(長子さんの)半径200メートル範囲の接近を禁じられている」(富岡八幡宮代理人の佐藤歳二弁護士)状態だったという。