そこで導入されたこの制度では、まずはすべての戸籍関連書類(被相続人と相続人全員の戸籍関連書類。本籍が何度か移っている場合などは、すべての戸籍・除籍謄本が必要)と、相続関係説明図を登記所(法務局)に提出する。
そして、提出を受けた登記所は、その相続情報を記載した証明書(法定相続情報一覧図)の写しを相続人に交付する。この法定相続情報一覧図があれば、戸籍関連書類をそのつど用意する必要がなくなるのである。
一度は必ず戸籍関連書類のすべてを集めなければならないので、その作業が必要ではあるが、相続開始後のあわただしい時間のなかで金融機関ごとに準備しなければならなかった過去に比べると、格段に手間を減らすことができるだろう。
さて、今後の相続に関する変更であるが、相続法の改正案として出されているものをいくつか紹介しよう。まだ確定ではないので、今後の動向を見守っていきたい。
(1)配偶者居住権の創設
遺産分割で配偶者が自宅を相続しなかった場合、他の相続人から家を追い出されてしまう可能性がある。それを一定期間は居住権を認めるべきだという考え方である。