今野裕幸(こんの・ひろゆき)/元神奈川県警の刑事だった叔父の影響で探偵の道へ。浮気調査やSNS関連、盗聴、ストーカー対策などに詳しい(写真:本人提供)
今野裕幸(こんの・ひろゆき)/元神奈川県警の刑事だった叔父の影響で探偵の道へ。浮気調査やSNS関連、盗聴、ストーカー対策などに詳しい(写真:本人提供)

 別の男性の子を妊娠・出産し、夫に育てさせるという、驚くべき行動をとる女性がいる。最近では、カッコウやホトトギスなどに見られる習性、「托卵(たくらん)」になぞらえて「托卵女子」と呼ぶ。

とある男性は、結婚半年で妻の浮気が発覚。育児を放棄した元妻に代わって、男性は娘を9歳になるまで育てたが、DNA鑑定の結果、娘が自分の子どもではないことが明らかになった。男性は3カ月前、この元妻と離婚を成立させた。娘はかわいいが、葛藤もあるという。

この男性のようなケースは、決して少なくない。『浮気がバレる男、バレない女』の著者で「総合探偵社スプラッシュ」代表の今野裕幸さん(41)によると、5年ほど前までは浮気調査は、8割方妻からの依頼だった。しかし、最近は、4割程度は妻の浮気を疑う依頼に変わってきたという。その要因はスマートフォンやSNSの普及ではないか、と今野さんは見る。

「LINEやFacebookで元彼と再会するケースもあります。かつては電話代が急に高くなり、浮気が発覚することもありましたが、今はパケット代や電話代を気にせずに電話やメールができます」

 かつて浮気調査は、現場を押さえることが主流だったが、今はLINEやメールから発覚することも多い。本人が消しても、専用のソフトを使えば復元できるため、出会いから恋愛関係に至るまでの経緯が、詳細に明らかになってしまうケースもあるという。

 数年前、今野さんはこんなケースを目にしたことがある。

30代の新婚夫婦の夫から依頼があり、妻の浮気を調査していた。妻は当時、妊娠8カ月。ある週末、「友人とご飯を食べに行く」という妻の後を尾行すると、五反田駅前で会ったのはスーツ姿の男性だった。

 妻と男性は居酒屋に2時間ほど滞在した後、ラブホテルの中へと消えていった。数時間後、ホテルから出てきた2人の雰囲気は、女性の結婚前から交際していたかのような仲の良さだったという。しかし、今野さんが驚いたのは、その事実を夫に伝えた時だった。

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