コラムニストの河崎環さん(44)は、22歳で結婚し、10年ほど専業主婦だった。周囲のママ友は10歳ほど年上のバブル期の女性ばかりで、男性はさらに上。驚いたのは、自分に何ができてどんな人間であるかにまったく価値を置かれない世界だった、ということだ。
「夫の年収、肩書、どんな車に乗せてもらっているか、どのブランドの服を着ているか、でヒエラルキーができあがっていました」(河崎さん)
「これはフィールドワークなのだ」と言い聞かせ、苦界に身を投じた。彼女たちの価値観を表面上受け入れたのは、そのほうが生き抜く上で楽だったからだ。
社会に戻ってから、社会進出を選んだ同世代の女性たちにも、消極的選択として生まれた「男尊女子」が多いことに驚いた。
同年代の女性テレビプロデューサーは、こう言った。
「未婚でも既婚でも、出世するのは、権力のある男に気に入られている女なんだよね」
損して得取れという心理か、生き抜くための戦略か、「男性の願望を忖度する」女性たちは、明らかに男性の受けがいいのだ。
河崎さんの脳裏には、稲田朋美元防衛相の姿が浮かんだ。