「結婚してからずっと財布は別々で食い扶持は自分で稼いでいたので、夫に『頼る』という考えは、不思議とありませんでした」(上田さん)
正体不明の不安に押しつぶされていた時、知り合いの編集者から本を書かないかという依頼がきた。それが『マンガ 自営業の老後』(文響社)。今年4月に発売されると11刷にまでなった。
実は、上田さんは年金未加入だった。面倒だったのと、仕事が順調だったので、この調子でいけば老後も稼げると思ったからだ。しかし今回、老後を考えて加入することに。昨年11月「改正年金機能強化法」が成立し、年金の受け取りに必要な「受給資格期間」が25年から10年に短縮された。最近は不安もだいぶ落ち着いたが、それでも心配は消えない。今は、75歳で死ぬことを願っているという。上田さんは言う。
「75歳が体力の限界のような気がするからです。後はボケたり健康も損ない始めたりしますから、寝たきりになって人様に迷惑をかけない死に方をしたいです」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2017年11月20日号より抜粋