「どうやって死ねばいいのかわかりません。シングルマザーの多くが、同じ不安を持っていると思います」
終身雇用が夢物語となった今、職を失うリスクも伴うようになった。解雇やリストラは、将来の不安、死に方に直結する。労働組合「東京ユニオン」の関口達矢書記長によれば、解雇などの相談は年400件近くあり、40代、50代が多いという。
大手予備校で英語講師をしていた男性のBさん(50代)は3年前、リストラされた。少子化に伴う受験人口の減少と現役志向の強まりの中、大幅に業務を縮小せざるを得なくなったというのが解雇の理由だ。講師時代、Bさんの年収は1千万円余。失職したBさんは家庭教師でしのぐことにしたが、収入は月10万円程度に。専業主婦の妻と幼い2人の子どもがいて、住宅ローンも抱える。妻には心配をかけたくないので、解雇になったことを言い出せない。Bさんはつぶやくように言った。
「これから先を考えると……」
現役世代が抱く生きづらさの正体は何か。共通するのは、先が見えない漠然とした不安だ。