市民レベルで終末期の過ごし方を考える取り組みもある。

 千葉県鴨川市の亀田総合病院では、有志でプロジェクトチームを結成し、地域で終末期医療を考えるワークショップを開いている。疼痛(とうつう)・緩和ケア科医師で、地域医療連携室の蔵本浩一室長(41)はこう話す。

「終末期の医療について医療者主導で話し合いを進めること自体に違和感があった。場合によっては医療者の都合が前面に出てしまう可能性もある。究極的には患者さん主導で自分の意思を伝えることが大切だ」

 ワークショップで用いるのが「もしバナゲーム」だ。

 4人1組になり、カードが5枚ずつ配られる。カードは全36枚で、「痛みがない」「誰かの役に立つ」「自分の人生を振り返る」「お金の問題を整理しておく」など死に際に必要なことが書いてある。余ったカードを中央に置き、余命半年と仮定してゲームがスタート。手持ちのカードと、余ったカードの中にある自分が大切にしたいと思うことが書かれたカードを交換していき、最終的に残ったカードについてそれぞれが選んだ理由や捨てた理由を発表する。

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