中国人事業家の女性が持つ民泊物件。物件の管理はオーナー自ら行うケースもあれば、管理会社に委託するケースも(撮影/山口亮子)
中国人事業家の女性が持つ民泊物件。物件の管理はオーナー自ら行うケースもあれば、管理会社に委託するケースも(撮影/山口亮子)
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 広々とした3LDK。6畳の和室にフローリングのリビング、寝室には本棚が置かれ、漫画本が並ぶ。リビングの大画面のテレビの向かいには革張りのソファ。キッチンのシンクはきれいに磨かれ、バス、トイレも清潔感がある。

 ここは東京都江戸川区のJR平井駅近くの住宅地にある高層マンションの一室。清潔で極端にものが少なく、生活感がないのは、ここが民泊に使われているからだ。

「昨日、宿泊客がチェックアウトしたばかり。清掃員がすでに掃除をしました。明後日にはまた2人泊まりに来ますよ」

 オーナーで中国人の60代の事業家の女性が、部屋に置かれた花瓶などの小物を整えながら教えてくれた。この部屋の料金は1泊2万円で、最大4人が宿泊できる。8月から営業を始めたばかりで、民泊仲介サイトには登録していない。女性の知人づてに東京に出張に来る中国人ビジネスマンが泊まりに来るだけだが、それでも1カ月足らずで8人が宿泊したという。

「日本のビジネスホテルはマッチ箱のような狭い部屋で、しかも高い。中国人は部屋の広さを重視するから、民泊が選ばれる。こういう部屋だと、くつろげてまるで家にいるような感じだし、数人で使えば安いもの」

 女性は民泊用として、付近に1泊3千円のワンルームと、1泊数万円の一戸建ての物件も持つ。一戸建ては庭付きで、この日見せてもらった物件よりも人気が高い。ワンルームは、民泊仲介サイト最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)(以下エアビー)と中国大手の自在客(ズザイクー)に登録していて、中国人以外の利用者も多い。

 女性は90年代に来日。資産として保有する目的で数年前に購入した不動産を、民泊に回している。民泊の収入は月に数万から30万円ほど。部屋の管理は自ら行い、同じような中国人オーナー数人と清掃員を雇って掃除を任せている。主に中国人向けに不動産売買を仲介するフューチャーリーディング取締役の柳田文華さん(45)が解説する。

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