■リスク要因(4)ごろごろして運動不足に

 みなさんはどんな体勢でパソコンやスマホを使っていますか? おそらく多くの方は座った状態で使用したり、スマホならごろごろした状態でいじったりしているかと思います。座った状態や寝転んだ状態で行なう活動を、医学分野では「座位(ざい)行動」といいます。長い時間を座ったり寝転んだりした状態で過ごすことは、心身の健康に悪影響を与えることが知られています。

 2003年から13年までに発表された13の国と地域で行なわれた20報の論文を統合した研究では、合計19万3166人を対象とした研究を解析した結果、座位時間の長い人はうつ病のリスクが1.25倍に増加すると指摘されています。座位行動の種類別に解析すると、テレビ視聴によるリスク上昇は1.13倍、パソコンなどでのインターネット使用によるリスク上昇は1.22倍でした。

 このように、オンライン習慣によって長い時間を座ったり寝転んだりした状態で過ごしてしまうと、間接的ではありますが、認知症のリスク要因である「肥満」「糖尿病」「うつ病」などの傾向が高くなってしまう可能性があると考えられます。

 現時点でオンライン習慣を送っている人たちが、本当に将来認知症になってしまうのか、その結果が明らかとなるには時間がかかります。現時点で明らかとなっている「リスク」を、どれだけ深刻に受け止めるかは各個人の判断に委ねられます。

 みなさんは、オンライン習慣が持つ「リスク」をどのように受け止めますか? 将来に備えて、自身の生活を省みて今日から行動を改めるかどうか、すべてはあなた次第です。