宇野さん(右)は宇宙に憧れ、宇宙ロボット開発に取り組む研究室を目指して東北大に入学した。研究室では月面探査ローバーの開発に参加。早く研究したくて早期卒業を選んだ(写真:本人提供)
宇野さん(右)は宇宙に憧れ、宇宙ロボット開発に取り組む研究室を目指して東北大に入学した。研究室では月面探査ローバーの開発に参加。早く研究したくて早期卒業を選んだ(写真:本人提供)
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 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。

 早期卒業制度を採り入れる大学が増えている。半年から1年早く卒業できて、その分、学費も安く済む。大学院への推薦や就職にも有利だという。

*  *  *

 平山千明さん(23)は今年3月、横浜国立大学理工学部数物・電子情報系学科を3年間で卒業した。一定の条件を満たすと3年間で卒業して学位を取得できる、「早期卒業制度」を利用したのだ。

「浪人した1年を取り戻したかったし、早く専門の研究を始めたかったんです」(平山さん)

 もともと、ロボットや人工知能の研究に取り組みたいと考えて、大学に進学した。入学して間もない1年生の4月下旬、先輩から飛び級の話を聞き、自身でも調べて早期卒業制度があることを知った。

 平山さんの学科では、2年生終了時点で規定以上の単位を取得したうえで、成績の平均点が4.15以上ある学生に限り、この制度を利用できる。「4.5」が満点だから、なかなかの難関。平山さんは1年生の10月に自身の成績を確認して「これはいけそう」と、早期卒業にターゲットを定め、授業の履修や勉強の計画を立てて、2年生の秋に制度の利用を申請した。こう振り返る。

「大変だったのは時間のやりくり。毎週実験リポートを提出しなければならなくて、成績も良くなければいけない。時間をかけたかったけど、その時間が足りなかった」

 一方で平山さんは、NHKのロボットコンテスト出場を目指すサークルに所属して、制御プログラムの開発を担当。アルバイトもしていたし、インターンシップにも参加していた。

●3年と4年を同時進行

 2年生の終わりまでは、成績が良くなければならない以外はほかの学生とほぼ同様のカリキュラム。ところが、3年生では同級生と共に専門科目を受講しながら、4年生と共に研究室に所属して卒業研究に取り組むという「二足の草鞋(わらじ)」を履かなければならない。

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