「この時期が一番きつかった」
と平山さん。バイトは辞め、土日返上で大学に通った。そのかいあって今年3月、無事に大学を卒業。修士課程に進学した。
早期卒業制度は1999年の法改正で制度化された。早期卒業制度を導入する大学は増加傾向で、文部科学省の調べによると、2014年度に大学全体の約2割に相当する158校がこの制度を導入している。
大学院への「飛び級」制度では大学は中退扱いになるが、早期卒業制度ではちゃんと大学卒業の学位を得られる。大学によって条件や運用の仕方が異なるが、狭き門であることに変わりはない。そのせいか、この制度を利用して卒業した学生のいる大学は158校中63校で、早期卒業した学生数も、2014年度は270人に過ぎない。
大学院進学率が8~9割と高い理工系学部の学生の利用が多く、早期卒業後は多くが大学院へ進学している。
法学部、経済学部、工学部で早期卒業制度を導入している東北大学でも、活用するのはほとんどが工学部の学生だ。
同級生と離れたくない
昨年9月、東北大工学部を3年半で早期卒業した宇野健太朗さん(22)は、入学直後に受けたオリエンテーションで制度を知り、「時間を効率よく使えるのがいい」と利用を考えた。
東北大では「成績優秀」など一定の条件を満たすと、上の学年の授業を「先取り履修」できるようになる。1年前期が終わった段階で先取り履修が認められるのは成績上位2割弱。1年後期以降、通常の授業に加えて毎学期1~2科目を先取り履修することで早期卒業の資格を得る仕組みだ。宇野さんは言う。
「学期ごとに好成績をとって条件をクリアしないと、早期卒業ができなくなるというプレッシャーがあった。ミスは許されない。成績の維持は大変だった」
早期卒業の学生は成績優秀なだけではない。東北大大学院工学研究科の湯上浩雄教授は言う。
「彼らは時間管理がうまい。勉強ばかりしているというわけではなく、サークルもバイトもほかの学生たちと同じようにやっています」