「何が目に入っても見て見ぬフリをする」。これがリモハラ防止のための大原則です。なお、オンライン会議で顔出しを要求することはリモハラにはあたりません。部下の健康観察も上司の仕事に含まれるからです。確認のために顔出しを求めるのは、「業務上必要かつ相当な理由」といえます。

■「(オンライン会議で返答がない時)おーい!黙っていたらわからないよ」は要注意

音声のみで行うオンライン会議では、相手の様子が見えないため、コミュニケーションにすれ違いが生じやすくなります。部下に質問しているのに返答がないからといって、相手がぼんやりしていたのか、または、わざと答えなかったのかはわかりません。

部下が集中力を欠いていることが明らかな場合でも、指摘の仕方には配慮が求められます。「ぼんやりしているから仕事ができないんだ」というような発言は、相手への侮辱となるため控えるべきです。

「黙っていたらわからないよ」とか「時間がもったいないよ」という言葉で注意を引くことは、ハラスメントにはあたりません。場を引き締めるために発する分には問題にならないでしょう。

相手の反応が鈍いと感じる場合は「どこかわかりにくかった?遠慮なく言ってね」と、上司のほうから、わからないところは遠慮なく質問するよう声をかけることで、会議を円滑に進めることができます。

■「(通信状態が悪く途切れる時)おまえのところいつもだな!なんとかしておけよ!」はNG

通信状態が悪く、オンライン会議がたびたび中断されるとイライラするものです。だからといって、その不満を暴言で相手にぶつけることは避けなければなりません。事業者が従業員にリモートワークを命じている以上、通信環境を整えるのは事業者の責任でもあります。

通信環境を改善するために費用等が発生する場合には、事業者側が補填することも検討すべきです。そのような体制を整えずに、一方的に個人に責任を負わせるのは「過大な要求」でありパワハラにあたります。メンバー全員の通信状態がつねに良好であるとは限りません。

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