これを、もうすこしスケールダウンして、現代社会に置きかえてみると、組織や制度に従って動いたのでは、ぼくたちは何も生み出せないかもしれない。慣習を疑い、習慣を変えることは創造的です。いつもと違うことをすれば、いつもと違う結果になる確率は上がります。

 だとしたら、従わないという選択には意味があります。学校や会社に合わないなら我慢しないで飛び出してみる。それは、結果を予測できないぶん希望的でもあります。

 だいたい組織や制度のなかにいる人は、外側をこわがります。分からないことは不安なんです。そのうえ挑戦できない人は、他人の挑戦もはばみます。自分で考えて自分で決めて飛び出したのなら、新しい世界の扉が開かれ、何かが生まれるかもしれません。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、実践教育ジャーナリスト、多摩大学大学院客員教授。大手予備校などで中学受験の講師として20年勤めた後、2014年「探究×受験」を実践する統合型学習塾「知窓学舎」を創設。実際に中学・高校や大学院で行っている「リベラルアーツ」の授業をベースにした『自分で考える力を鍛える 正解のない教室』(朝日新聞出版)を3月20日に発売

(構成 教育エディター 江口祐子/生活・文化編集部)