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 思想家・武道家の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、哲学的視点からアプローチします。

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『街場の天皇論』という本がもうすぐ上梓される。直接のきっかけは昨夏の陛下の「おことば」である。私は「おことば」を、「立憲デモクラシーと天皇制の共生はどうあるべきか」についての陛下の長年の思索と実践の果実として重く受け止めた。国民の多くも深い共感をもって「おことば」を受け入れたと思う。けれども、政権周辺の反応はずいぶん冷たかった。これは国政への関与であり憲法違反だと言う人までいた。

「立憲デモクラシーと天皇制はどう共生できるのか」は戦後日本が引き受けねばならなかった国民的難問である。だが、天皇は日本国と日本国民統合の「象徴」であること、法律の公布、国会の召集、大使公使の接受などの国事行為のみを行い、「国政に関する権能を有しない」と憲法に定めて、それ以上考察を深める努力を私たちは怠ってきた。私は憲法尊重擁護義務の順守において陛下は全公務員の範だと思ってきたので、この批判には一驚を喫した。

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内田樹

内田樹

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数

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