受け入れ対象は0~2歳児。保育料は1日3千円、半日1500円。おやつや給食などを希望する場合は別途料金がかかる。
「須藤さんのように定期的にお預かりしているご家庭もあれば、単発で利用されている方もいます」
事前登録制で、利用を希望する場合は、希望日の3日前までに電話で空き状況を確認する、という流れで利用する。
岸田首相は少子化対策の一環として「一時預かり」の推進を打ち出しているが、課題は何か?
「困っているのはお金の面ですね。もともと保育園は就労している保護者のお子さんを預かるのが目的なので、そうでない『一時預かり』の場合はほとんど補助金がつきません。運営側としてはすごく厳しい」
補助金の問題は保育士の処遇改善とも密接に関係している。
さらに、「一時預かり」制度には賛否両論があり、保育園側の認識も一様ではないという。
「無園児のお子さんを預かる仕組みがすごく必要だと思っている人もいれば、就労していない人の子どもを預かることに抵抗を感じる保護者や保育園もあります。そこはまだばらばらですね」
■国際水準の保育には程遠い
保護者が働いているかどうかに関係なく利用できる保育園の一時預かり制度を政府が検討していることについて、長年、保育制度を研究してきた日本総合研究所調査部の池本美香上席主任研究員に聞くと、「昔に比べれば前進してはいますが、スピードが遅く、国際水準の保育には程遠い」と言い、徒労感をにじませた。
池本研究員はこれまでに海外の動向をふまえ、国に対してさまざまな政策提言を行ってきた。しかし、ここまで変わらないとは思っていなかったという。
「広く海外の保育状況を見ると、保護者の就労の有無によって利用に制限をかけている国はほぼなくなりました。なのに、定員の空きを活用したモデル事業で『異次元の少子化対策』と言われても、20年、30年遅れていると思ってしまう」