■ずっと泣き寝入りだった
日本が決定的に欠けているのは、保護者や保育者の声を吸い上げて保育制度を変えていく仕組みだという。
「海外では、子どもの環境を保障するには何が必要か、課題を全部出してもらって、そのうえで保育制度を積み上げてきた。ところが、日本では声を上げる人たちがいても、その声がきちんと受け止められず、制度が全然変わらない。困ったことがあってもみんな泣き寝入りです」
もちろん、少しずつ変わってはいるのだが、世界標準からすれば、日本の改革の速度は絶望的に遅く感じる。
「子どもを育てやすい制度に変えていけばいいのに、日本では制度に合わせて子育てをしなければならない。海外の事例を調べると、ここだったら親がもうちょっと楽で、安心できて、子どもも親も楽しくいられるのにって思うことばかりなんですよ」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)