12年、比例復活で初当選した。その後8カ月は平日は自民党で朝8時から行われている部会出席のため都心に拠点を置いていたが、今は選挙区内に暮らす。朝6時に起きて朝活動しても、部会には間に合う。「やれることはやらないといけない」。そんな思いから続けることにした。

 JR立川駅を中心に選挙区内の鉄道駅でほぼ毎朝、駅頭に立つ。14年の総選挙では得票数を約1万4千票上乗せし、小選挙区で当選。「地元を一生懸命に回っている人は、政策に対しても一生懸命に取り組んでいると思います」と話す。
駅前でなく「政策立案」

 同じく当選2回の小倉将信衆院議員(東京23区)も、「駅に立つと自民党に対する『風』を感じられる」と駅立ちを続ける。

「若手議員が多いから、不祥事が目立つだけ。私たちの代は旧民主党政権期に公募を受けた議員が多く、追い風に乗った人ばかりだとは思いません」(小倉氏)

 一方、「毎日駅前に立つことは意味がない」と考える議員もいる。当選2回の村井英樹衆院議員(埼玉1区)は、「自民党の部会は朝8時からあるのに、毎朝駅に立っているということは政策立案をサボっていると言っているようなもの」と強い口調で断言する。今は小泉進次郎衆院議員らとともに幼児教育無償化のための「こども保険」プランを提案。党内で議論を重ねている最中だという。

「国会議員の活動データを集積する会」のまとめでは、16年臨時国会で12年初当選の自民党議員103人中、国会で質問に立った議員は58人いる一方、内閣に入らず質問にも立たなかった議員も28人いた。ある議員は「2期連続当選で発言に横柄さが出ている人もいる」と危機感を口にする。

 有権者の声を本当に聞いているか、政策論争を挑んでいるか──党の名前にとらわれず、政治家本人の資質を厳しく見極める目が、小選挙区制度下の有権者には求められる。

(編集部・福井洋平、山口亮子)

AERA 2017年6月26日号

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