ロシアゲート疑惑報道が過熱する中で投票された5月25日のモンタナ州下院議員補欠選挙では、記者への暴行という自身のスキャンダルを抱えた共和党の候補者が、民主党候補に勝利した。もともと共和党の地盤だけに、議席を失うことがあればトランプ氏への風当たりが党内で一気に強まる危険性があった。
副大統領で仕切り直し
ロシアゲートの捜査状況や世論の動向が中間選挙に与える影響を慎重に分析している共和党は、「しばらく様子を見る」というスタンスだ。ロシアゲートの展開次第では、トランプ氏を辞めさせて、副大統領のペンス氏の下で仕切り直すという選択肢もある。米国では大統領が罷免された場合、選挙の前倒しはなく、残された任期を副大統領が大統領になって全うする。
中林教授によると、まだ圧倒的ではないが、すでに多くの共和党員からペンス氏を支持する声が上がっている状況だという。犯罪の証拠露呈で大統領不支持が党全体でも決定的になった場合には、共和党主導の上下両院において、トランプ氏の弾劾が成立する可能性も出てくる。では、共和党はいつまでに決着したいのか。「タイムリミットは今年いっぱいだと思う」と中林教授。「中間選挙がある来年までロシアゲートを引きずることになれば、共和党も判断を迫られる」
(編集部・山本大輔)
※AERA 2017年6月12日号