メディアへの激しいリークも続いている。ロシアのラブロフ外相との会談中にトランプ氏が過激派組織「イスラム国」(IS)に関する機密情報を開示したことや、解任される前のコミー氏にトランプ氏がフリン氏の捜査を打ち切るよう求めたとされることなど、政権内部でしか知り得ない情報が続々と出てくる。トランプ氏の娘婿、クシュナー大統領上級顧問にまで疑惑は及び、極秘通信網の構築をロシア側に提案していたという報道まで飛び出した。
●学級崩壊の情報漏洩
「政権内の規律が崩れている。これをどうにかしないと、メディアへのリークは止まらない。ここまで情報が漏れる政権は今までなかった。前代未聞の素人大統領であることの象徴的な帰結だと思う」(同)
穴の開いたバケツの底から水がほとばしるように情報が漏れ続ける危機的な状況は、5月22日に英国のコンサート会場で起きた爆弾テロに関する捜査情報が米メディアに流れたことにも表れている。米治安筋のリークだったとしてメイ英首相はトランプ氏に強く抗議。責任の追及を約束したトランプ氏は、逆にこの機会を利用して、ロシアゲート関連の情報漏洩(ろうえい)防止に向けた政権内部の徹底的な引き締めをしてくるとみられる。
不思議なのは、流出情報の中に、トランプ氏自身がロシアと関係したことを示す情報がほとんどないことだ。唯一あるのは、大統領就任前の今年1月初めに、米バズフィードが現物をネット上で公開した英国元工作員作成の35枚の調査報告書で、ロシアのハニートラップにかかり、恥ずかしい写真を撮影されたなどとする内容くらいだ。事実だとすればトランプ氏は大統領就任前からロシアに弱みを握られていたことになる。ただ、中林教授は懐疑的だ。
「ハニートラップがあったとしても、それがトランプ氏だったら誰も驚かない。仮に弱みを握られているとしたら、国家や自身のビジネスなどに関する極めて重要な情報であるはずだ」