専門性を持つことも転職市場でのアピールには欠かせないが、複数の専門性を「かけあわせる」ことで自分の希少性を高めるという戦略もある。自分の持っているスキルは何か常に考え、学ぶ姿勢が必要だ。

「剣山マッチング」を生き残るためには、まず自分のスキルが転職先にぴったりはまるかを精査しなければいけない。阪部さんは、「人の欠点は蜜の味です」という表現をする。

「自分のスキルが、相手の組織上の欠点を埋め合わせられるなら、理想的な転職になる。同業他社ではなく、業界を変えるという視点を持つことも大切です」

●転職活動ですべきこと

 そういう観点からいま最も注目されている流れが、地方への転職だ。「2年前から一気に、首都圏から地方への転職という流れが出てきました」と語るのは、コンサルティング会社トライファンズの丹野裕介さん。

「『地方創生』の流れや、ドラマ『下町ロケット』の影響もあるかもしれませんが、地方の企業が海外進出などを真剣に考え始めるようになってきました。事業経験が豊富でマネジメントができる人材を求めてヘッドハントの動きも活発になっています。首都圏では物足りなさを感じている人も、地方に行けば活躍の場が広がるかもしれません」

 ただし、ここでも求められるのは「人格」だ。

「地方企業には現場を重視する会社が多い。地元の祭りに参加するなど、積極的に地域に溶け込んでリーダーシップを発揮できるような人材が求められていますね」(丹野さん)

 経営者としっかり腹を割って話し合うことも必要だ。

「自分はなんのためにここにいるのか、存在意義を明確に伝えることが必要。たとえ知り合いであっても自分の役割を話し合って明確にする必要があります」(森本さん)

 もう一つ腹を割る必要があるのは、配偶者。

「優秀な人は、配偶者も上手に説得されていることが多いです」(広富さん)

「片働きだと転職の選択肢は狭くなります。家事を分担するなど、配偶者が仕事を持てるようにすることも大切でしょう」(森本さん)

(編集部・福井洋平)

AERA 2017年5月22日号

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