定年がじわじわ延びる中、40代はまだキャリアの折り返し点に過ぎない(撮影/今村拓馬)
定年がじわじわ延びる中、40代はまだキャリアの折り返し点に過ぎない(撮影/今村拓馬)
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 2020年の東京五輪に向けて、新卒採用だけでなく、40代以上も含めた転職市場が活況だ。気になるのは転職後の年収のアップダウンだが、自己実現を優先しようと地方に移る人、お金に価値を置かない転職も増えている。AERA 5月22日号では「転職のリアル」を大特集。転職をまじめに考えている人、うっすら意識している人にも読んで欲しい。

 40代以降の転職市場は花盛り。だが、求められる資質のハードルは高い。モテる人材になるには? 腕利きのヘッドハンターに尋ねた。

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 年齢不問、40代以上の求人は年々活気を帯びている。リクルートエグゼクティブエージェントの森本千賀子さんは、「東京五輪のある2020年くらいまでは求人環境はバブル状態。転職を考えるなら、今がチャンスです」と言う。

 だが、楽観は禁物だ。企業側は高い採用コストをかける以上、ピンポイントで結果を出せる人材を求める。人材紹介会社エン・ジャパンの担当者は30代後半以降のミドルキャリア層の転職を「細い点と点を合わせる剣山マッチング」と表現する。即戦力人材向け転職サイト「ビズリーチ」主催の「ヘッドハンターサミット2017」受賞者で、KANAEアソシエイツの阪部哲也さんは言う。

「ミドルキャリア層は確実に若い人より転職しづらいですね。成功は上位1~2割のイメージ。そこに入れば、ヘッドハンターのほうから声をかけてきます」

「剣山マッチング」の転職市場で“モテ人材”になるためにはどうすればいいのか。

●需要ある人材像知る

 この層で求められる資質のトップは「マネジメント力」だ。エン・ジャパンの担当者は、「就職氷河期だった00年前後入社の社員が少なく、20代を教育、管理するリーダーやマネジャーのポジションを増員する需要が高まっている」と分析する。

 産業構造の変化もマネジメント力の需要を高める。ネット、通信業界に強いオプティマスの広富さつきさんはこう語る。
「買収やJV(ジョイントベンチャー)により新規事業に乗り出す会社が増えているため、即戦力で使える経営幹部を求める会社が増えています。年齢は問いませんが、成長テーマを持ち、次にこういう規模の組織の経営をしてみたいと明確に考えているタイプの人は好まれますね」

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