阪部さんは、マネジャーとして「組織を束ね、ボトルネックを見つけて解消し稼げる仕組みやマニュアルを作り上げることが『成功』」と定義したうえで、「二つ以上の成功経験が必要」と断言する。新規事業立ち上げを含め、急変するビジネス環境への柔軟性をアピールするためには、成功事例が1カ所だけでは足りないのだ。森本さんも「同じ部署でキャリアを積み上げた人ではなく、複数職場を経験して仕事の本質を見抜けるようになった人が望まれます」と言う。

 さらにマネジメント能力の根幹はカリスマ性ではない。「数字に対する強さ」だ。

「部下全体に目の行き届く課長職と、大きな組織を束ねる部長職とはやることが違う。経験やカンではなく、KPI(重要業績評価指標)であれ管理会計であれ数字をもとに公平にマネジメントできるかどうかが、ミドル層の転職では問われます。40代の人間は若い世代と同じ土俵で戦ってはいけない。経験をもとに大局観をもって判断できるかどうかが成功の条件です」(阪部さん)

 業界によっては高い専門性が要求されることもある。自動車業界やメーカー業界に強いクイックの長嶋一樹さんは、「特に経験値の高い層に対しては、高い専門性を求める傾向が強まっています」と語る。若手エンジニアが異業種から転入してくることも多く、そういった若手を教えられるハイレベルなスキルが求められるのだという。

「マネジメント能力に加えて、自分で手足を動かせる人でなければ市場で求められません」(長嶋さん)

●NG人材にならない

 前の項目を見てもわかるように、経験の幅が狭い人は求められないことが多い。

「大手一社のみしか経験がなく、その会社のやり方しか知らない人は、紹介に至らないケースもあります」(広富さん)

 マネジメント能力が求められる一方で、手が動かせない人は転職市場では好まれない。新しい会社に管理職として飛び込む時、実務をこなさず命令だけする人に部下はついていかない。「ハンズオンができない人は嫌われます」と広富さんは言う。

 加えてダメなのが現職の愚痴ばかり言う人。

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