もしかしてさっき私が泣いているのを見たから、彼も人目を気にせず泣くことができたのかな?じゃあ右隣のおじいさんのおかげで、二人とも素直になれたってことか。おじいさんは気持ちよさそうにいびきをかいています。
人前で無防備に感情を表すのは幼稚だとかみっともないと言われますが、周囲を安心させる効果もあるんだなあとありがたく思いました。
人は不安を感じると攻撃的になります。本音を封じて、ポーカーフェースで身を守る。そんなギスギスした世の中で、このおじいさんのような人は、場をくつろがせる貴重な存在なのかもしれません。そばにいると、自分も気持ちを解放していいんだ、って思えるから。
次のフライトでは「ムーンライト」を見よう。またコアラ泣きの彼と隣になったりしないかな……とつい再会を期待してしまいます(おじいさんじゃないのか!)。
今度は彼、「美女と野獣」で泣いてたりして。これ、恋じゃないよね。違うよね?
※AERA 2017年5月1-8日合併号
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