2016年3月のダイヤ改定で1日1本しか列車が来なくなり、「日本一終電の早い駅」になった札沼線新十津川駅の時刻表(撮影/編集部・福井洋平)
2016年3月のダイヤ改定で1日1本しか列車が来なくなり、「日本一終電の早い駅」になった札沼線新十津川駅の時刻表(撮影/編集部・福井洋平)
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新十津川駅を発車する「日本一早い終電」(撮影/編集部・福井洋平)
新十津川駅を発車する「日本一早い終電」(撮影/編集部・福井洋平)
路盤が押し流された日高線(豊郷─清畠間)。過去に何度も台風被害に遭っている区間で、「抜本的な対策が必要」とJR北海道は言う(撮影/編集部・福井洋平)
路盤が押し流された日高線(豊郷─清畠間)。過去に何度も台風被害に遭っている区間で、「抜本的な対策が必要」とJR北海道は言う(撮影/編集部・福井洋平)
高知と愛媛を結ぶJR四国・予土線には、0系新幹線を模したディーゼルカーが走る。「新幹線の生みの親」、十河信二元国鉄総裁が愛媛出身との縁で実現 (c)朝日新聞社
高知と愛媛を結ぶJR四国・予土線には、0系新幹線を模したディーゼルカーが走る。「新幹線の生みの親」、十河信二元国鉄総裁が愛媛出身との縁で実現 (c)朝日新聞社

 国鉄が解体し、7社のJRが発足して30年。株式上場を機に、脱テツドウにシフトする会社があれば、お先真っ暗な未来にアタマを抱える会社あり。現在のリストラなど働く人たちの労働環境悪化は、国鉄解体に原点があるとの指摘も。「電車の進化」などさまざまな切り口で30年を検証していく。AERA4月10日号では「国鉄とJR」を大特集。

 半分の路線を「維持困難」と投げ出そうとしているJR北海道。会社もJRグループも国も自治体も、誰も責任を取らない。十分予測できた暗い未来を直視しなかった。

*  *  *

 3月中旬、北海道日高町にある日高門別駅を訪ねた。立派な待合室のある駅舎に2本の線路。だが、いつまでもそこに列車は来ない。ここ2年ほど、JR北海道の大動脈の一つ、日高線(苫小牧─様似(さまに)、146.5キロ)が、116キロにわたって運休しているからだ。

 きっかけは2015年1月の高波被害で、線路下の盛り土や橋が流されたこと。JR北は、「復旧に86億円、運行再開しても年間13億円かかる」と沿線自治体に負担を求めた。人口減少に悩む自治体にとても負担はできない。運休区間の廃止を通告してきたのは昨年12月。沿線自治体の一つ、日高町の三輪茂町長は困惑を隠さない。

「地図から鉄道路線が消えたら、首都圏から人が来なくなる。年間予算100億円程度の町の規模ではJR北海道が求める(1町あたり年2億円程度の)負担は到底できません」

 15年12月から、沿線自治体とJR北が復旧に向け議論する沿線自治体協議会が始まった。

「復旧に際し国に補助金を要請するには(運行を)持続させる仕組みをセットで構築することが不可欠です」(JR北海道)

 だが三輪町長によれば、JR北に、路線再開に向けた熱意を感じることはできなかった。沿線7町は様似から札幌までの優等直通列車導入や新駅設置などの利用促進案を出したが、JR北は年間3億円程度の赤字が出るとの試算を出して難色。鵡川(むかわ)駅から、日高門別駅までの約20キロは路線の損傷はないが、運行再開には折り返し施設新設などで6千万円に加えて、毎年の運行コストなど3億2千万円の負担が必要と町に要求したという。

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