●「ベルばら」が刺さる

 結婚して誰か一人のものになってみたい。でも婚活をするより仕事に打ち込みたい。でもやっぱり子どもは欲しい。そんなAさんの気持ちがピタリとハマったのが、少女漫画『ベルサイユのばら』13巻。女に生まれ男として育てられた男装の麗人オスカルが何か決断するとき、謎の女性がふと現れては消えるというストーリーだ。軍服のオスカルとは対照的な巻き髪+ドレス姿のその女性は、何者かとたずねるオスカルに向かって言う。「わたしはお前が諦めたもののすべてだ」と。

「このシーンを読んで、ああ、私は選ばなかった人生を思ってモヤモヤしているんだなと気づきました。アラフォー独身・おひとりさま大歓迎というふうにライフスタイルの価値観が多様化したことで、逆に息苦しい部分もあるのかもしれない」

 この「あったかもしれないもう一つの選択肢」という呪いにかけられているのは、既婚者も同じだ。結婚生活を語る上で欠かせない「家事分担」にも、多くのロールモデルが存在する。しかし、独自の道を切り開いた人たちもいる。

 互いの役割をきっちりと分ける「野球型」を実践しているのがBさん(男性・35歳)だ。

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