「海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意を表明する」
沖縄県の翁長雄志知事は6月19日の県民大会でこうあいさつ。公式の場で米海兵隊撤退に初めて言及した。
今回の県民大会は、翁長知事を支える社民や共産などの県政与党や企業関係者らでつくるグループが主催。自民、公明などは「海兵隊撤退」を盛り込んだ大会決議案などに反発し、参加を見送った。このため、3米兵による少女暴行事件に抗議した1995年の県民大会のような「超党派」の体制は築けなかった。一方で、主催者の政治スタンスが拡散しなかったことで、思い切った決議採択につながったとも言える。
そこで注目されるのが、翁長知事の今後だ。これまでの知事の公約には、名護市辺野古の「新基地建設阻止」はあっても、海兵隊撤退までは求めていなかった。「全基地撤去よりは弱いが、知事の公約を超える」(県幹部)この新要求を、知事はどう扱うのか。
●海兵隊撤退は民意集約
翁長知事は大会終了後、「海兵隊撤退の中には(中略)県民がそれぞれ持っているものが集約されている」と記者団に説明した。海兵隊撤退要求は、海兵隊が使用する普天間飛行場の代替施設となる辺野古基地建設の阻止だけでなく、自民党が掲げる「米軍基地の整理縮小」や、公明党沖縄県本部が主張する普天間飛行場の「県外・国外移設」要求とも矛盾しない。したがって、県民の総意を包含する、との認識だ。
沖縄県議会が5月、「在沖米海兵隊の撤退」を求める初の決議を採択したことが、翁長知事のスタンスを「海兵隊撤退」に踏み切らせるきっかけになる、と本誌6月20日号で予測していた沖縄の政治アナリスト、比嘉良彦氏はこう解説する。
「県民大会に自民・公明が参加しないことを最も気にかけていたのは知事です。しかし、自公不参加でも大会の成功を確信し、自信をもって『海兵隊撤退』に言及できる、と判断したのです」