●政府は「県全体でない」
これに対し、政府の姿勢は依然、冷淡だ。菅義偉官房長官は県民大会の翌日、自公などが参加していないことを理由に、こうコメントした。
「よく県全体(の大会)という話がされるが、それはまったく当たらない」
ただこれは、沖縄の県民感情をまったく理解していない発言だ。
95年の県民大会以降、日米両政府は「基地負担軽減」や「事件事故の再発防止」を繰り返し唱えてきたのに、十分な成果を上げていないことへのいら立ちを沖縄県民は広く共有する。
また近年は、米側が再三にわたって在沖米海兵隊の撤退を検討していたことや、それが実現してこなかった要因として日本政府が引きとめていた実態が、研究者が発掘した資料で浮き彫りになっている。
にもかかわらず、本質とはかけ離れた部分で「対抗」する姿勢では、県民の理解が得られるわけがない。
とはいえ、県民大会については、在京メディアの扱いも大きく分かれた。ジャーナリストの大谷昭宏氏はこう指摘する。
「自公が欠席し、一部の党派が主催する、しかも参院選の公示日を目前に控えたタイミングで開かれる大会を大きく取り上げると、『公平性を担保できない』という大義名分を、私は認める気はないが一部のメディアの側に与えてしまった」
問われているのは、政権の意向を忖度(そんたく)し、沖縄で起きている民意のうねりを過小評価する一部メディアの姿勢だ。沖縄との紐帯がかつてないほどほころんでいる今、本当に「本土」は無関心のままでよいのか。
●本土も「第二の加害者」
県民大会の会場で一段と大きな拍手がわき起こったのは、壇上で玉城愛さんがこう訴えたときだった。