「安倍晋三さん、日本本土にお住まいの皆さん。今回の事件の第二の加害者は誰ですか? あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか」
6月22日に公示された参院選で、沖縄選挙区は、自民現職で沖縄担当相の島尻安伊子氏(51)=公明推薦=と、辺野古の新基地建設に反対する「オール沖縄」を掲げる新顔の伊波洋一氏(64)の事実上の一騎打ちになっている。
党中央とは異なり、辺野古移設に「反対」の姿勢を貫く公明党沖縄県本部は、自民とともに県民大会への参加は見送ったものの、大会前日には被害者を追悼し、事件に抗議する独自の1500人規模の集会を那覇市内で開催した。
沖縄の公明党関係者はこう本音を漏らす。
「辺野古移設推進を唱えてきた島尻氏と積極的に共闘したいという沖縄の公明党関係者はほとんどいません。でも、比例区で票を伸ばすには保守系の票に分け入っていくしかないのです」
公示翌日の「慰霊の日」に開かれた沖縄全戦没者追悼式。翁長知事は平和宣言で、辺野古移設に改めて反対を表明した上で、昨年にはなかった「米海兵隊の削減」に触れた。県主催の追悼式ということを考慮してか、県民大会のように「撤退」までは言及しなかったものの、沖縄の米軍基地面積の7割強を占める海兵隊が問題の核心であることを強くにじませた。
一方、追悼式に参列した安倍首相は、基地負担軽減という一般論に終始し、翁長知事の要求には直接答えなかった。
辺野古移設問題では、国地方係争処理委員会が6月17日、委員会としての判断を下さず、政府と県の話し合いによる解決を求める異例の決定をした。それに対して菅官房長官は会見で、翁長知事に提訴を促すなど、「対決」姿勢を崩していない。
前出の比嘉氏は参院選をこう位置づける。
「選挙の勝敗はこれまでの総決算。言い訳は通じません。敗れた方はすべて終わりです」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2016年7月4日号