まず、15年11月のNHK杯で羽生が、ショートで2本、フリーで3本の4回転を成功させ、総合で322.40点をマーク。翌12月のGPファイナルでも330.43点と、自らの記録を更新した。
今年1月の欧州選手権では、羽生と同じブライアン・オーサー門下のフェルナンデスが、ショートで2本、フリーで3本の4回転に成功。302.77点をマークし、史上2人目の300点超フィギュアスケーターとなった。すると黙っていられないのが、チャンだ。2月の四大陸選手権に出場すると、フリーで2本の4回転を含む完璧な演技を見せ、203.99点をたたき出した。
他の選手とは一線を画す別次元へと足を踏み入れた3人だが、彼らの高得点の源は二つ。
まずは、4回転の「数」だ。羽生は、今季の初めまでショートでは「演技後半の4回転」が課題だったが、10月のスケートカナダではこれをミス。しかもチャンに優勝を譲り、苦杯をなめる。すると、演技後半の4回転の成功はまだないにもかかわらず、更に高いレベルへのプログラム変更を決意した。
「僕にとっての成長は、そんな幅では絶対にダメだ。ショートでの4回転は2本やる。パトリックに離されっぱなしではいられません」(羽生)
限界への挑戦は、そのまま羽生にとってのモチベーションとなり、結果は「有言実行」。
もう一つ、300点への突破口を開いたのはジャンプの「質」。ジャンプは、「跳ぶときの入り方が難しく、飛距離・高さ・流れがあり、降り方も難しい」などの質の高いものには、最大で「+3」の加点がつく。
チャンはスケートカナダで、4回転をショート1本、フリー1本しか入れていないが、「質への加点」で羽生を上回った。