走るだけでも仲良くなれるのがランナー気質。さらに外国人相手なら、日本のよさを伝えたい。そんな人が増えている。
アマチュアランナーの聖地・皇居近くの一室。壁に色とりどりのランニングシューズが飾られる中、ホワイトボードを前に、30~40代を中心にした男女17人が講師に向かい合っている。中にはランニングウェア姿の人も。
今はやりのランナー養成講座か、と思いきや、講師の第一声は……。“Hello everyone! How areyou doing? ”1月中旬から東京都千代田区で始まった「おもてなしランナー育成プログラム」だ。
「2020年の五輪開催が決まり、私たちに何ができるかと考えたときに、皇居ランナー・ウォーカーに着目しました。多数いる皇居ランナーの方が、国内外のお客様をお出迎えできたらいいのでは、というアイデアがきっかけです」
主催する「おもてなしランナー協会」の桃園貴美子さんは、プログラムが始まったきっかけについてこう話す。協会は1年前、半蔵門近くでランナーサポート施設を運営する「メディアコミュニケーションズ」が主体になって設立された。
プログラムは全12回。3カ月にわたって、英会話のほか、車いす体験などで障害者サポートも学ぶ。全プログラムに参加すると「おもてなしランナー認定証」がもらえる。
「旅先で現地の方に助けられることが多かったので、外国の方とコミュニケーションをとれるようになりたいと思って参加しました」
こう話した東京都台東区に住む男性会社員(36)は、90分の講義が終わると、実践の場を求めるかのように走ってその場をあとにした。
「20年を見据えて、意識が高い人は多い。ここから各地域に羽ばたいていける人材を継続して育成していきたい」(協会の桃園さん)
※AERA 2016年2月22日号より抜粋