美食ブロガーをご存知?(※イメージ)
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 自家用ジェットをチャーターして世界の高級レストランを回る美食ブロガーたち。彼らを追った映画が公開される。

「フーディーズ」と呼ばれる美食ブロガーの存在をご存じだろうか。彼らは、世界最高峰のレストランで食事をするためだけに、自家用ジェットをチャーターして世界各国を旅する。そしてSNSを駆使し、時に歯に衣きせぬ表現で、自由にその味の批評を展開する。

 本作はそんな5人のフーディーズが主役だが、それぞれ経歴が面白い。シェル石油の元重役、タイ・バンコクの金鉱会社の御曹司、世界的音楽レーベルの元オーナー、リトアニア生まれのスーパーモデルに交じって、香港生まれのごくフツーのOLが登場する。大した稼ぎのない彼女が、どうやって新進気鋭のブロガーになったかは興味深い。

 彼らが信仰するのは「美食家の聖書」と謳われ、星の数でレストランを格付けするミシュランガイドブック。ヨーロッパではミシュランこそが権威なのだが、彼らの批評は時にそれをも凌ぐ影響力を持つ。フランスを中心として歴然と存在する料理界の伝統や格式に一切媚こびない姿勢が評価されているのだ。

 それだけ聞くと、料理を提供するレストラン側からすれば、積極的には招き入れたくない客のように思えるが、さにあらず。撮影厳禁の店でも特別に手持ちのiPhoneでの撮影が許され、食事が終われば厨房の見学に招待される。

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