昨年12月、自民党の宮崎謙介衆院議員(34)が、同党で妻の金子恵美衆院議員(37)の出産に合わせて育児休暇を取得する意向を表明した。これを受け、ネットや党内の議員からも批判の声が相次いでいる。一方、育休を取得した経験のある男性知事は今回のケースについてこう指摘する。
同じ公職でも、首長では過去に男性の育休取得例がある。成沢広修・文京区長が2010年春、約2週間の育休を取得。その後、湯崎英彦・広島県知事、鈴木英敬・三重県知事も続いた。湯崎氏の取得時には、当時大阪府知事だった橋下徹氏が、「世間知らず」「船長である首長が、船が沈む時乗客より先に逃げ出すのはどうか」などと批判した。
実際、鈴木氏が12年に3.5日の育休を取得した際も、県庁に批判の電話やメールが多くあったという。
「世の中の空気を変えるのが政治家の役割。男性国会議員の育休は前例がないですが、だからこそ取得する意味があります。自ら育休を取って再認識したのは、子どもと一生向き合うための姿勢作りは最初が肝心だということ。そして、少子化対策は女性支援だけでなく、『男性』と『働き方』を変えることなしにはありえないということです」
ただ鈴木氏は、育休取得の経験や、子育て支援をしてきた経験から、取得の際には周囲の理解を得るために、ある程度工夫が必要だとも感じる。
「今回のケースでは、イエスかノーかの議論より、どう取るかを議論したほうが建設的だと思います。例えば、1カ月まとめてではなく、繁忙期を避けて2度に分けるなど、実態に即した取得の方法を模索するとよいのでは。タイミングも、周囲の助けが手厚い出産直後でなく、妻に育児疲れがたまってくる生後2、3カ月たった頃や、妻の職場復帰の際という選択肢もあります」
鈴木氏も3・5日分を数回に分け、飛び石で取得した。現在は部下にも育休取得を勧める「イクボス」だ。14年の秋には、秘書の男性も2カ月の育休を取ったという。
※AERA 2016年1月18日号より抜粋