例えば急な学校行事。すぐには対応できない母親もいることを理解してほしい。家事を外注したり子育て支援のサービスを利用したりしたときに、後ろめたいと感じなくて済む環境が整えば、きっともっと、子どもと向き合える。
教育・心理カウンセラーの富田富士也さんは言う。
「家庭は子どもにとって、何の制約もなく素の自分でいられる場所であるべき。それをつくるには、『申し訳ない』と思う気持ちや弱音を、子どもにちゃんと伝えることです」
帰宅が遅くなり「ゴメン!」と走ってくる姿から、子どもは親の愛情を吸収する、と富田さん。話を聞く余裕がないときも素直に「ごめん」と謝って、本当は向き合いたいと思っていることを伝え、向き合おうと努力しているところを見せればいい。
「短時間でいいから、本音の温かい会話をすることで、親子の関係は深まるはずです」
【時間がないことで子育てがすさんでしまう…… ワーキングマザーたちの声】
「月曜までに学校に提出しなくてはいけないものを、金曜日のプリントで知らされるのは困る! いつでも対応できる母親ばかりだと思わないでほしい」東京都・52歳(長女12歳、次女7歳)
「学校行事にほとんど出られずママ友をつくることができないため、学校の情報が入ってこない。楽しく豊かな子育てとはほど遠い」神奈川県・35歳(長男7歳)
「放課後の子どもの様子が分からない。実は危ない目にあっているのではないかと不安になることがある」埼玉県・46歳(長男15歳、長女10歳)
「仕事をがんばると、育児をする元気がなくなる。子どもがわがままを言ったりじゃれてきたりすると、面倒で邪険に扱ってしまう」東京都・30歳(長女1歳)
「長男が小学生時代にいじめに悩んでいたことを知ったのは中学生になってから。次男が部活で悩みを抱え練習に行っていないことも、しばらくして近所のお母さんから知らされた」オーストリア・49歳(長男21歳、次男19歳)
「保育園に置いておく服にまで気が回らず、長男は冬も夏物を重ね着させてもらっていた。下着は2歳のときに用意したものを5歳まではかせたし…」埼玉県・44歳(長男9歳)
※AERA 2015年4月20日号