●体調不良でも保育園へ
フルタイム就労を続ける女性(37)は、自分が働かないとローンの支払いが滞るという事情を抱えていた。長男(13)と長女(9)を育てる派遣社員(38)からは、
「共働きの私たちは、好きで働いていると思われているから、かえって休めない」
という声があがった。
「大事な会議のある日の朝、息子が不調を訴えたが、聞こえなかったことにして保育園に預けてしまった」
と苦い思い出を語ってくれたのは、3歳の男児を育てる公務員の女性(32)だ。
長女(10)と長男(8)を育てながら契約社員として出版社に勤める女性(44)は、夫の単身赴任で一気に「時間貧困」に陥った。これまでは夫がしてくれていた分の家事も、夫が引き受けてくれていた子どもたちの相手役も、すべて女性が担わなければならない。ある日、マンションの管理人にこう言われたという。
「娘さんが元気がなかったから声をかけたところ、『学校で男子にからかわれている』と涙ながらに話していた」
ショックだった。いつしか、子どもたちのことが見えなくなっていた。
●多様性を認める社会
どうすれば、女性たちの「時間貧困」を解消できるのか。育休や時短、男性の育休取得率向上についてはさんざん議論されてきた。しかし、母親たちの声は、それだけでは問題が解決されないことを示している。
「生き方や働き方の多様性を認める社会になってほしい」
と話すのは、12歳と7歳の女児を育てながら、年7回の海外出張をこなすメーカー勤務の女性(52)だ。