企業が女性登用に必死だ。管理職世代の女性は、社内では引っ張りだこ。さらに転職でも売り手市場だという。リクルートエグゼクティブエージェントのコンサルタント、森本千賀子さんはこう表現する。

「女性管理職として活躍できる人材は少ないのに、求人案件は急増。追い風どころか突風が吹いている状態です」

 他社がコストをかけて育て上げてくれた管理職は、即戦力を求める企業にとっては喉から手が出るほど欲しい人材だ。

 大阪市にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社ユー・エス・ジェイは、2012年に女性管理職を公募した。応募者350人から3人を採用。女性管理職比率は上昇した。

「育成・登用で女性リーダーを増やしてきたが、時間がかかる。もっと加速させたかった」(人事部次長の塩谷真彦さん)

 ヘッドハントなどの転職支援サービスを手がけるエイトシークエンスの小山友一社長は、「能力の高い女性なら、転職はもはや、売り手市場です」と断言する。出産や育児もマイナス要因にならないという。

「逆に、女性が活躍できる土壌がない企業は、優秀な人材を重要なタイミングで手放すことになる。多大なる損失です」

 大手企業の管理職から、同じ年収でベンチャー管理職への転職を果たした女性(36)は話す。

「前の会社は男社会。『生活者としての女性の目線を生かしたい』という『自称・女性応援おじさん』はいたけど、同じ目標に向かって頑張っている女性をバカにしていると感じました」

 数値目標ありきの「女性枠」と推測されるポストを募集する企業も、能力や意欲の高い女性からは敬遠されがち。結果、能力的に満たない女性が採用され、周囲の反感を招く。

AERA  2014年12月1日号より抜粋