子どもが小学校に入学すると、親としてはその成長をしみじみ感じる……一方で、おバカな言動に頭を抱えてしまうこともあるのでは。子どもとの時間を笑って過ごすコツを専門家に聞いた。

 小学校入学式の翌日。真新しい体操着セットに防災ずきん、学童の弁当を両手に持ち、小さな背中には大きなランドセル。頑張って登校する長男の後ろ姿を見送りながら、サチコさん(42)はホロリ。しかし、帰宅した我が息子は、荷物をまるまる一式、ドヤ顔で持って帰ってきた。さらに翌日も同じことを繰り返したのだった…。

「何のために持っていったのか考えてみようよ!」

 サチコさんはつい、きつく言ってしまった。その時はヘコんでいるように見えた息子だが、同じことを何度も繰り返す。持って帰らなくていいものは持って帰るのに、大事なものは学校に忘れてくる。しかも、一緒に学校まで忘れ物を取りに行くと、大事な連絡プリントが机の奥でグチャグチャになっている。

「教室で私が駄々をこねたくなりました。何度言っても通じないので、頭の回路がどうなっているのか見てみたい(笑)」

 こうした愛すべきおバカな息子に手を焼く母親がツイッター上で自虐ネタを披露するハッシュタグ「#アホ男子母死亡かるた」は爆発的な人気に。あるまとめサイトは100万ビュー目前で、今年5月には書籍化。アエラも男子の親たちに取材し、おバカなエピソードをかるたにしてみた。

「お姉ちゃんの悲鳴が聞こえ、振り返ると、息子が釣った魚に頭からカブりついていた。魚は尻尾をバタつかせて大暴れ。野生児か!」(6歳男子の父親)

「小学校入学直後に帰宅しないので大騒動に。自宅と逆方向の公園で遊んでいたのだが、今も決まった通学路で下校したことは一度もない」(小2男子の母親)

「オチンチンをペットボトルの口に入れて『おっきなチンチン!』と叫ぶ。対応に悩んでママ友に打ち明けたら、ドン引きされた」(小1男子の母親)

 男子のおバカな言動はかわいく、微笑ましい。しかし毎日となると、「このままで大丈夫?」と息子の行く末を案じ、イラッとするのも親心だ。

 明治大学文学部教授で教育カウンセラーの諸富祥彦さんによると、男子は女子に比べて活動性が高く、興味・関心が幅広くて移りやすいという。

「絶えず落ち着きがない、行儀が悪い、部屋の中を汚すなどは、男子ならば当たり前のことですが、きちんとした性格の母親ほど、理解し難い息子の行動にストレスをため、それが限界に達してキレてしまいがちです」

 キレそうになった時は、トイレに行くなど場所を変えて気持ちを切り替え、クッションにパンチする、新聞紙をちぎりながら小さな声で「バカヤロー」とつぶやく、などが効果的という。

AERA 2014年9月1日号より抜粋

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