ドイツに大敗し、涙を浮かべるブラジルのサポーター。試合後、各地で放火や略奪が起きた/8日、ブラジル・ベロオリゾンテのミネイラン競技場(撮影/朝日新聞社・上田潤) (c)朝日新聞社 @@写禁
ドイツに大敗し、涙を浮かべるブラジルのサポーター。試合後、各地で放火や略奪が起きた/8日、ブラジル・ベロオリゾンテのミネイラン競技場(撮影/朝日新聞社・上田潤) (c)朝日新聞社 @@写禁
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 地元優勝を期待されたブラジルが、1―7で歴史的大敗を喫した。華麗なパス回しで相手を翻弄したのは、本家本元のブラジルではなく、ドイツだった。敗戦の原因は、どこにあったのか。

 スコラリ監督はネイマールのけがによる離脱と、開催国として優勝を義務づけられた重圧の影響を真っ向から否定した。

 しかし、今回のブラジルは登録23選手のうち、過去のW杯を経験している選手は6人にとどまる。さらに、ドイツ戦で先発したメンバーは、このうち3人のみ。開始11分の失点をきっかけに、チームに動揺が広がったのは落ち着きのない試合運びからも明らかだった。ちなみに、対するドイツは先発11人のうち9人がW杯を経験している選手だった。

 両チームの間には、チームづくりにも歴然とした差があった。ドイツのレーウ監督は代表コーチを務めたあと、そのまま2006年からチームを率いてきた。若い選手の成長を促しながら、4年前の南アフリカ大会をへて、積み上げてきている。

 かたやスコラリ監督には豊富な経験があるとはいえ、12年11月の就任。チームとして熟成させる時間は不足していた。

 伝統的に、セレソンの強みは各ポジションに世界的な選手がそろっていることだが、選手層の薄さも指摘されている。攻撃力に優れるドイツ相手に、主将でDFの中心になるチアゴシウバを出場停止で欠いたことも大きく影響したのだろう。

 チアゴシウバの代わりに入ったDFダンチはドイツ国内リーグ王者のバイエルン・ミュンヘンで活躍している選手だった。バイエルンの同僚を含め、ドイツをよく知ると期待されたが、まるで代役を果たせなかった。6分間で4失点を重ねた魔の時間帯について、「茫然自失の状態に陥った」と振り返っている。

AERA 2014年7月21日号より抜粋