日本は一次リーグ敗退に終わったW杯。今回の敗因は、そして今後の課題は何なのか、元サッカー日本代表で日本サッカー協会顧問の釜本邦茂氏に聞いた。

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 自分たちのサッカーって何だったのか、と言いたいですね。ゴールに向かって縦パスばかりで、次につながる策もない。トップに大久保嘉人を置いても、縦パス1回でシュートに持っていくプレーなんて、出場国のレベルを考えれば、そう簡単にできることではない。そもそも、縦パスを放り込んでシュートに持ち込める選手の選考をしていない。なのになぜ、ですよね。ゴール前で細かく短いパスを続けるだけで終わったり、ポストプレーが難しいのに縦パスを放り込んだりでは、攻めていることにはなりません。

 手本としたスペインは、1次リーグで敗退。4年前に機能したボールをつなぐ攻撃のスタイルも、4年が経てば通用しなくなる。各国は頂点を極めたスペインのサッカーに対抗すべく、ハードなディフェンスで守り抜いてカウンターで攻めるスタイルを定着させた。結局、一人でゴールまで持っていける選手が求められている。短いところでチョチョンとパスを回したところで、アジアでは通用しても世界では無理だということが今回、露呈しました。

 あえて厳しい言い方をすると、海外組が多くなったとはいえ、実際のクラブで小間使のようにしか試合に出られなければ、成長は期待できない。これは技術だけでなく、選手たちの意識にもかかわってくる。安定して活躍しているのは、FWの岡崎慎司とDFの長友佑都くらいじゃないですか。勝ちたいという意識を前面に出して、闘争心あふれるプレーを発揮できるかは、試合で養われるものです。

 勝つために必要なのは、1対1で勝負できるフィジカルの強さはもちろんのこと、選手個々の意識です。勝つためにゴールを狙う意識の改革。それには年齢的に中高生のころから、メンタルを作り上げていかなければなりません。「俺でなければ点が取れない」という、自分がナンバーワンであるプライドをもつ選手の育成が望まれます。

AERA 2014年7月7日号より抜粋