Google代理店ビジネスマネージメント統括部長セントジョン美樹さん日系企業に勤務した後、2008年に入社。休日にはベビーシッターを利用して、米国人の夫と映画やランチに行く(撮影/高井正彦)Googlegキャリアプログラム出産や配偶者の海外転勤などで1年ほどキャリアを離れたプロフェッショナルを採用。約20週のインターン期間を経て、ニーズが合えば正社員として登用。ライフイベントで仕事を離れざるを得ない女性などに、様々な活躍の場を提供有給パタニティリーブ男性の育児休暇も推奨し、有給で1ヶ月程度を取得するのが当然になっている
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代理店ビジネスマネージメント統括部長
セントジョン美樹さん

日系企業に勤務した後、2008年に入社。休日にはベビーシッターを利用して、米国人の夫と映画やランチに行く(撮影/高井正彦)

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gキャリアプログラム

出産や配偶者の海外転勤などで1年ほどキャリアを離れたプロフェッショナルを採用。約20週のインターン期間を経て、ニーズが合えば正社員として登用。ライフイベントで仕事を離れざるを得ない女性などに、様々な活躍の場を提供

有給パタニティリーブ
男性の育児休暇も推奨し、有給で1ヶ月程度を取得するのが当然になっている
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 子どもを持つ社員にとって、働きながらの子育ては大変なもの。しかしなかには「子育て社員」を主戦力にすべく、環境を整えている企業もある。

 グーグルで広告営業の統括部長を務める、セントジョン美樹さん(37)には、日本で働く多くのワーキングマザーが抱える二つの「罪悪感」がない。

 一つは、ほかのメンバーより早く帰ることによる罪悪感。

「子育てしながら働くって幸せなことだし、世の中に対して後ろめたいことじゃない。自信をもって堂々と帰っています」

 それができるのも、グーグルが提供するITサービスが、まずは足元の社員を支えていることが大きい。仕事のスケジュールや子育てに伴うNGタイムなどをグーグルカレンダーに公開し、チームメンバー同士で把握、効率的に仕事が組み立てられる。仕事の資料や情報はクラウド化されているので、家に帰って子どもを寝かしつけた後でも自宅作業が簡単だし、パソコンにカメラが搭載されているので、外出先でも自宅でもネット会議が可能だ。

 もう一つ、子どもに十分接してあげられないという罪悪感とも、無縁だ。多くのワーママは、この罪悪感から解放されるために「時短勤務」を選択してキャリアアップを断念するか、罪悪感を感じながら「延長保育」などを利用して、なんとかキャリアを積むかどちらかだ。

 だが、彼女は出産後復帰してから、時短勤務を取ったことも延長保育を利用したこともない。復帰直後は子どもが体調を崩しがちだったが、仕事を差配して夕方4~5時頃には会社を出た。早く帰っても、集中して働き、結果を出しさえすれば、誰も文句は言わなかった。

 長時間働かなくても成果が上がるのは、仕事における目標が明確だからだという。3カ月に1度上司と話し合い、一人ひとりが目指すゴールを設定する。さらに週1回「ワンオンワン」という面談で、ゴールに向かうための日常業務の見直しや効率化が図られる。

「やることが明確なので、無駄な時間がありません」

 子育てがキャリアの妨げにならないことは、彼女が復帰後1年して、管理職である統括部長に昇進したことが証明している。

AERA 2014年4月21日号より抜粋