園部:なのに、フタを開けたら安倍政権は、進める意思はない、となった。
御厨:安倍首相の総裁任期は21年9月で終わりが近い。皇室典範の改正など新しいことに手をつける気はないでしょう。
──上皇ご夫妻の直系にあたる内親王は3方。眞子さまは28歳、佳子さまは25歳。一番若い愛子さまも18歳です。
園部:女性皇族は、結婚によって民間に出る以上、数の減少を止めるには、「女性宮家」創設の議論は避けられない。
御厨:どうも政権は、皇族の減少がギリギリに追い込まれるまで何もせず、最後に、「エイヤッ」とやってしまおうと思っている節がある。長く議論して、いい解答が得られるとは思っていない気がする。
小泉政権のときに、園部さんが座長代理を務めた「皇室典範に関する有識者会議」でも同じでしょう。あのときは悠仁さまが生まれておらず、若い男性皇族がいない皇室は切羽詰まっていた。
園部:なんとかせねば、と有識者会議が設置された。我々は1年の間、議論を重ねて「女性・女系天皇容認」「皇位継承者は第1子優先」とする報告書を05年11月に小泉首相に提出しました。
年明けの1月に会議のメンバーが首相公邸に呼ばれ、小泉首相や官房長官だった安倍さんと食事をしました。小泉さんは、報告書どおりに典範の改正案をまとめて国会に提出したいとおっしゃったが、安倍さんだけが渋い顔をしていましたね。
だがすぐに紀子さまが懐妊されて、この話は一切打ち止めになった。
■眞子さまの問題 敬愛の念失う
御厨:12年に当時の民主党の野田内閣で、園部さんは、内閣官房参与として「女性宮家」の検討に参加されました。
園部:このときは個別に意見を聞いただけで会議は設置しなかった。野田内閣は、12年秋に論点整理をまとめました。しかし、「女性宮家」に、皇室に「誰かわからない人」が入ってくる可能性があるということで反発が強く、結局お蔵入りしてしまった。小泉政権でも野田政権でもあれだけエネルギーをかけて論議したにもかかわらずお蔵入りというのは、非常にもったいないと思っています。