1月23日、2020年東京五輪・パラリンピックで日本選手団が着る公式服装が披露された。作製は紳士服大手のAOKI。1964年大会の入場行進で着用した日の丸カラーの上下を入れ替え、伸縮性や通気性がある素材を使用。上着には、縁起のいい日本の伝統柄を陰影でプリントするなど、細部へのこだわりも。ファッションデザイナーのドン小西氏がファッションチェックした。
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腹が立つのを通り越して、何だか悲しくなってきたよ。これまでオリンピックの開会式の各国の行進を、仕事としてもチェックしてきたけどさ、はっきり言ってこれはない。しかも今回、日本は開催国。スポーツだけじゃなく、日本文化もアピールしなくちゃいけないのに、特徴は国旗の赤白だけだもんな。
あとは、赤いパンツといい、三つ山に折ったポケットチーフといい、クレリックシャツといい、日本のガラパゴスな流行の寄せ集め。量販店の店頭に並んでいるようなデザイン要素を、つなぎ合わせただけにしか見えないよ。
「ニッポンを纏(まと)う」っていうコンセプトも、気分重視で大ざっぱすぎ。伝統柄をあしらったり、ボタンや生地には凝ってるが、そんなもん広い会場では見えやしないって。それに欧米各国は自国の人気デザイナーを起用して、ファッション界をアピールするのが普通だろ。日本にだって、若手の人気デザイナーはいくらだっているのに、なんでチャンスを与えないかな。
ま、トガった個性が嫌われる日本のリアルを、まさに纏った公式服ということで。
■評価は……?
2 DON! 「特徴は素材の機能と国旗だけ。そんな公式服でいいんでしょうか?」 ※満点は5DONです。
(構成/福光恵)
※週刊朝日 2020年2月7日号