いよいよ本格的な受験シーズンが到来。4人の子ども全員が東大理IIIに合格した佐藤ママこと佐藤亮子さんによる、受験生とその親を応援する新連載が始まります。第1回は「読解力」について。
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受験生はラストスパートですね。今回から春まで、私の経験を交えて勉強のコツや親のサポート術をお伝えしていきたいと思います。新年を迎える第1回は、これからの時代、子どもの教育において一体何が重要になるのか、お話ししようと思います。
2019年後半は、大学入学共通テスト(新テスト)をめぐる騒動がありました。大人の都合で作った制度に子どもを合わせようとしたことが原因です。目玉だった英語民間試験の導入は延期になり、国語と数学の記述式問題も、正式に見送りを発表。高2生のなかには英語民間試験の準備を始めていた生徒も少なくないようで、結局、子どもが振り回されることになりました。未来を生きる子どものことを第一に考えるべきだったのにと思います。
新テストでは学力の評価の仕方をめぐって混乱が生じましたが、ここでもう一度、子どもが身につけるべき「学力」とは何かをあらためて考えてみましょう。これからの新しい時代に、大人は子どもたちにどのような教育をすればいいのでしょうか。
これからの社会でAIの進歩と活用が進んでいくのは間違いありません。そのような時代には、AIと人間の平和的な共存を第一に考えなければなりません。
実は、人間は、哲学者のひとことを胸に100年生きていける生き物なのです。「AIに仕事を取られる」といった不安の声も多数ありますが、AIに大量の情報を入れるのは人間なのです。
膨大な情報からピンポイントでデータを抜き出すのはAIのお得意とするところでしょう。そのような仕事はとって代わられるかもしれません。そのことをマイナスと捉えると人間は病んでしまいます。AIと同じ土俵で競争したり、AIと同じ物差しで優劣をつけられたりしては、人間は立場がなくなりますよね。
数年前まで、大学入試でも「理系ブーム」で、理数系の人材がもてはやされてきました。しかし、あまりにも猛烈なスピードで進歩している科学技術には、いつか人間の心が追いついていけなくなるのではないでしょうか? すでに、SNSなどで子どもが病んだり犠牲になったり、大人も情報の扱いがずさんで問題を引き起こしています。