2019年のセンター試験の会場の様子 (c)朝日新聞社
2019年のセンター試験の会場の様子 (c)朝日新聞社
専願率は東進ハイスクール調べ。それぞれの大学グループ内で一つでも受けた受験生を分母にとり、特定の大学のみを受験した人の割合を「専願率」として出した。募集人員は大学通信調べ。一般入試のみで、2部・夜間主コース含む。併願比率は東進ハイスクール調べ。各大学のグループ内専願者が国公立大や産近甲龍などを受験した割合 (週刊朝日2019年12月20日号より)
専願率は東進ハイスクール調べ。それぞれの大学グループ内で一つでも受けた受験生を分母にとり、特定の大学のみを受験した人の割合を「専願率」として出した。募集人員は大学通信調べ。一般入試のみで、2部・夜間主コース含む。併願比率は東進ハイスクール調べ。各大学のグループ内専願者が国公立大や産近甲龍などを受験した割合 (週刊朝日2019年12月20日号より)

 18歳人口が減っていく中、各大学はいかにして受験生に選ばれる大学になるか、腐心している。今回紹介する「専願率」は、似たような位置づけの大学グループの中で「特定の大学しか受けない」受験生の割合。関西の大学グループのうち、本当に選ばれている大学はどこか、東進ハイスクールのデータから分析しよう。

【表】各大学グループ内の専願率や併願状況などのデータはこちら

 まずは、人気と実力を兼ね備えた「関関同立」。その中でも、大学の特徴によって専願率に差が開いた。最も専願率が高かったのは、立命館大で23%だった。東進ハイスクールを運営するナガセの市村秀二広報部長は「関関同立で最も勢いのある大学」と見る。立命館大専願者の国公立との併願比率を見ると69.6%で、同志社大に次いで2番目に多くなっている。

 今年はグローバル教養学部を新設。昨年度からはアメリカン大学と共同で一つの学位が取れるプログラムも始まり、国際化に力を入れている。経済学・経営学を基盤に文化など食について総合的に学ぶ食マネジメント学部も新しく作り、志願者を集めている。

 とはいえ、入試難易度という“実力”でいえば、同志社大のほうが上で、その地位は揺るがない。それでも立命館大の専願率が高い要因には、関西圏以外の学生を獲得している点が大きいようだ。同志社大では近畿圏外出身の在学生の割合は約36%だが、立命館大は約45%と高い。

 というのも、立命館大は早くから地方会場での入試を実施。この取り組みが功を奏し、関西圏以外からの学生獲得と全国的な知名度アップにつながった。20年度入試は27都道府県51カ所で実施される予定。さらに、近畿圏外の学生を対象に年間30万円、4年間(薬学部薬学科は6年間)継続して受けられる奨学金を用意しており、受験生には魅力だろう。

 次いで専願率が高かったのが関西大で、18%だった。市村広報部長は「産近甲龍志願者から挑戦校として捉えられている」と見る。関西大専願者の産近甲龍との併願比率を見ると、53.8%と、他の3大学と比較しても高い。

 地元住民からの認知度が高いのも、専願率を高めていそうだ。在学生の近畿圏出身者は82%となっており、関関同立の中では突出している。関西大入試センターの広報担当者はこう語る。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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