新テストの混乱を避けて「超」安全志向か、あえてチャレンジするべきか――。
本年度の大学入試で、受験生は志願先をめぐって例年になく難しい選択を迫られている。第1の要因は来年度から導入予定の「大学入学共通テスト(新テスト)」。これまでのセンター試験から問題や回答形式が、がらりと変わるはずだった。ところが、11月になって新テストでの英語の民間試験導入の延期が急きょ決まったうえ、国語や数学の記述式についても見直し・延期の方向で政府・与党が調整に入ったとも報じられており、次年度以降の入試について「保護者や生徒から不安の声が上がっている」(予備校関係者)という状況なのだ。
こうした新テストをめぐる不安や混乱から、浪人を避けようと受験生が安全志向になるのも無理はない。ただ、安易に志望大学のランク(入試難易度)を下げても、うまくいくとは限らないようなのだ。
「周囲が安全志向ならば、本年度入試はチャレンジしたほうがいい結果が出る可能性があります」
こういうのは河合塾教育情報部の富沢弘和部長だ。実際の動向はフタを開けてみないとわからないが、河合塾の模試の志望動向を見る限り、やはり難易度の高い大学の志願者は減ることが予想される。ならば、ランクを下げるよりも、本来志望していた難易度の高い大学に出願した方がライバルが減り、逆にチャンスがあるという。
具体的に志願動向を見ていこう。
首都圏では人気私大グループで軒並み、志願者減だ。早慶上理(早稲田大・慶應義塾大・上智大・東京理科大)は前年比94%、MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)も94%、昨年度入試で志願者が増えていた日東駒専(日本大・東洋大・駒沢大・専修大)も94%という状況だ(表)。武蔵野大や桜美林大など日東駒専よりも難易度が低い大学で志願者が集まっているという。
近畿圏でも同じ傾向だ。関関同立(関西大・関西学院大・同志社大・立命館大)で前年比96%、産近甲龍(京都産業大・近畿大・甲南大・龍谷大)で94%だった。産近甲龍よりも難易度が低い摂南大、追手門学院大などで志願者が増加傾向だ。