
チョコレートやココアの原料であるカカオは、かねてから体に良いと評判だ。カカオに含まれるポリフェノールの抗酸化作用はよく知られているが、そのほかにも意外な健康効果がありそうなのだ。
森永製菓は、ココアを使用した実験から、記憶力や判断力を一時的に上げる効果が期待できると発表した。
実験では、ポリフェノールの一種である「カカオフラバノール」(30ミリグラム/約1杯分)を含むココアと、ココア風に調整した飲料を飲んだグループに分け、30分後に視覚記憶テストなどを実施。視覚記憶テストにおいて、ココアを飲んだグループの正解数が、ココアではない飲料を飲んだグループと比べて約21%高いという結果となった。
森永製菓は、実験結果を受けてこう解説する。
「これまで多数の研究がありましたが、1杯分のココアだけで効果が確認できたのは新しい知見です。メカニズムについてはまだ検証されていませんが、他の研究ではカカオフラバノールが脳の血流を促すことが報告されています」
持続時間は検証していないので、残念ながら効果は一時的かもしれない。
さらに、自治医科大学の間藤卓教授は、介護の現場や便秘で悩む高齢者にココアの活用を提唱している。
「ココアに含まれるセルロース、リグニンなどの食物繊維が腸で働き、便通を促し、便臭を減らしてくれます」
高齢者は、歯が弱り、柔らかな食品を好むため、食物繊維が不足がちになる。腸の運動も弱ってくるので便の回数が減って硬くなりがちだという。
「トイレでいきみ過ぎて脳いっ血を起こす人もいるので、無理に出そうとせず、スムーズな便通にココアを試してみてください。それでも難しければ、我慢せず受診してください」
これから冬本番。健康管理の強い味方になりそうなココアのパワーをこの冬に試してはいかがだろう。
(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日オンライン限定記事