サッカー国際親善試合「キリンチャレンジカップ」のベネズエラ戦で選手を鼓舞する森保一監督(c)朝日新聞社
サッカー国際親善試合「キリンチャレンジカップ」のベネズエラ戦で選手を鼓舞する森保一監督(c)朝日新聞社

 五輪の金メダルはますます遠のいた。サッカーの親善試合「キリンチャレンジカップ」2試合が国内で行われたが、サッカーファンはさぞかしがっかりしたことだろう。東京五輪世代のU22(22歳以下)は、17日のコロンビア戦で0-2で完敗。19日のA代表は、W杯出場経験がないベネズエラに1-4で惨敗した。

 いずれも監督は森保一氏が兼任しているが、この体制に限界が訪れつつあるようだ。「東京五輪で金メダル」を掲げる森保監督だが、A代表の活動が忙しく、U22は横内昭展・監督代行兼コーチにほぼ任せっぱなしだという。

「どちらの試合も、監督はチーム力の底上げを求めて、固定メンバー以外の選手の台頭を期待していましたが、いま一つでした」

 そう話すのは、専門誌「サッカーダイジェスト」元編集長の六川亨さんだ。六川さんは、U22の直接的な敗因について「東京五輪の主力になるであろう久保(建英)と堂安(律)のコンビネーションが少なかった」と指摘する。確かに、U22は、A代表経験を重ねたMF久保建英(マジョルカ)と堂安律(PSVアイントホーフェン)の両選手が初めてこのチームの一員としてピッチに立つも、孤立する場面が多くみられた。

 だが、根本的な敗因がほかに存在することの方が重大な問題だという。

「チームの完成が相当遅れていることが、大問題だと思います。本来であれば、今の時期にはすでに主力の顔ぶれが決まっていて、東京五輪のチームの骨格ができあがっている状態。前回大会のリオ五輪ではこの時期までには決まっていました。しかし森保監督はまだ選手を試したいようで、FWもボランチも誰を使うのか見えてこない」

 U22は、来年1月には東京五輪の予選大会である「AFC U23選手権」(アジア選手権)を控えている。すでに日本は開催国枠での出場権を持つため、平たく言えば「負けてもよい」大会なわけだが、出場権をかけて死に物狂いで向かってくる他国とぶつかり合える貴重な大会でもある。六川さんはこう話す。

「大会後、3月の練習マッチと5月の国際大会を経て、五輪のメンバー選考を行います。ここから逆算しても、本来はこの1月の大会にピークを持っていかなければならないのに、完成度が低い。監督交代を決断するなら今しかないと思います」

 果たして、森保監督と日本サッカー協会の“采配”は?

(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事