「静かな町に客席数1千のホールがドーン!と立っていました。でも街には人が歩いていません。お客さん、集まるのかな、とちょっと心配になりました」
しかし、杞憂だった。6日(日)の夜、開演時間を迎えると、会場は満席。人口7万人のうち1千人が集まった。
「私はこの街の70人に1人とお会いしたことになりますね」
そんなMCに客席がどっとわいた。
「リエパーヤのホールもモスクワのように、お客さんのほとんどがフォーマルでした。男性も女性も結婚式に出席するような衣装です。いい文化だなあ、と思いましたね。音楽をとても愛している町だからこそです」
リエパーヤ公演の翌7日(月)はスイスへ。ジュネーブでの公演に向かった。
「リエパーヤ~リガ~オスロ~ジュネーブと飛行機を乗り継ぐ予定でしたけれど、リエパーヤ~リガの便が欠航になったので、また陸路を250キロ走りました。ホテルでは3時間しか睡眠時間をとれなかったので、クルマと飛行機で睡眠時間を稼ぎました。長い間ツアー生活を送っているので、仮眠で疲労を回復できるようになっています」
ひろみは2003年にデビューして以来、北米、南米、ヨーロッパ、アジア、アフリカ大陸……、毎年世界約100都市で約150公演を行ってきた。国から国へ。街から街へ。少ない睡眠で移動するツアーを続けてきたのだ。
「ジュネーブは今までに何度も訪れています。コンサート会場のヴィクトリアホールも3回目でした。ここも1894年に建った歴史あるホールです」
ステージに出ると、何度も訪れているからこその親しみのある拍手に包まれた。
「温かさと期待と興奮が感じられる拍手です。おかえり、期待してるよ、今夜も楽しませてくれよ……という響きです」
ジュネーブからは2時間半のフライトでチューリヒへ向かった。
「強行スケジュールが続いていたので、この移動はすごく楽に感じられました。いつも演奏しているチューリヒのタウンホールは改装中で、臨時に造られたホールで演奏したんですけれど、響きはすごくよかった」
このチューリヒまでが、ひろみのワールドツアーの最初のチャプターである、ヨーロッパ公演だ。