放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、『銀座に志かわ 三軒茶屋店』の食パン。
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昨年あたりから「食パンブーム」であることを御存知の方は多いと思う。正確には「高級食パンブーム」。
ちょうど1年程前だったか、共演者全員に駄菓子セットを配ることで有名な元なでしこジャパンの丸山桂里奈さんから食パンをいただいた。確か北海道ロケのお土産だったと思うが、私を含め、もらった人たちは、そう驚きはしなかった。
既にブームだったことに加え、劇場などの差し入れに食パンが利用されていることを知っている人も居たかもしれない。
私も目撃したことがある。多くの少年たちが出演する某ミュージカルの楽屋。学校から劇場入りし、出演前の腹ごしらえに、各自が食パンをオーブントースターで焼き、バターやジャムを付けて頬張っていたのだ。弁当やケータリングよりも気軽に、そして短時間でお腹を満たすことができる食パンで、しかも「高級」となれば、幸福感も味わえることだろう。
この文脈で注目されるのが、pH値の高い独自のアルカリイオン水を仕込み水に使い、小麦粉、生クリーム、バターなどの旨味を絶妙に引き出し、隠し味としてのはちみつを吟味した「唯一無二の食パン」と謳う、『銀座に志かわ 三軒茶屋店』ではないだろうか。
3年間で全国に100店を出店する計画を進めているという『銀座に志かわ』の中でも、もっとも新しい部類に入る「三軒茶屋店」が注目されている理由は三つ。まずは、この地がパン屋やケーキ屋の激戦区であることだ。チェーン店というよりは、長年、地元に親しまれている店が多い土地に9月2日にオープン。1本(2斤)864円という価格の超高級食パンが、既存店のそれとかぶることはないので、地元のパン好きが既に行列を作っている。世田谷線「三軒茶屋」駅に下車したら、すぐにトレードマークの「食パン」の暖簾(のれん)が目に入る。他の『銀座に志かわ』の店構えに比べて扉に特徴がある「三軒茶屋店」は早くもランドマークになりつつある。
注目ポイント二つ目は、「シアタートラム」が目の前だということ。「世田谷パブリックシアター」も目と鼻の先で、「劇場への差し入れ」ということを考えると最適な立地なのである。
三つ目は、この20年程、「三軒茶屋」付近には芸能人が数多く住んでいるということ。
他店と比較して楽屋と芸能人に近い『銀座に志かわ 三軒茶屋店』。早くも感度の高い有名人らの“差し入れ店リスト”への仲間入りを果たしている。
「銀座に志かわ 23号店 三軒茶屋店」東京都世田谷区太子堂4-20-4/営業時間:11:00~19:00(売り切れ次第終了)
※週刊朝日 2019年11月1日号